UMI-SONO-“i”とは?

ブログのメインテーマ

「海その”i”」(UMI-SONO-“i”)とは?

「海その”i”」(UMI-SONO-“i”)がこのブログのメインテーマです。

i” は 「情報」information
および「研究」investigationの、それぞれの頭文字(= i )を表しています。

そして加山雄三さんの「海その愛」と同じく、海への「」も含まれています。

ですからこのブログでは、主に「海の情報」「海の研究」などと同時に、海に関する話題をできるだけわかりやすく、たのしく紹介していきたいと考えています。

このブログで伝えたいこと

一般の人を対象に研究内容などをわかりやすく紹介する、いわゆる「サイエンス・コミュニケーション」という分野を意識しています。
🔗サイエンスコミュニケーションとは?:文部科学省

Wakamaro
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でも研究以外の話題、例えば趣味や思い出など、息抜き的な記事も書きたいと思っています。疲れたときに海を見に行くようにふらっと立ち寄って読んでもらえるような記事も書いていこうと思います。

このブログを読んで海や海の研究に興味を持つ人が増えてくれれば幸いです。

このようのことを考えた理由を、この記事で少し説明します。

「海」には「わからない」問題が多い

私は国の研究所で30年以上「海」に関する研究を行ってきました。

具体的には、海で漂っている植物プランクトンと呼ばれる生物と海の環境との関係を調べる研究です。

研究を進めていくうちに、何度も強く感じたことがありました。

それは「陸上」の出来事と比較して、「海」で起きている出来事にはまだまだ「わからない=未解明」な問題が多く残されているということです。

海にはわからない問題が多い

もちろん陸上の出来事に関しても、未解明な問題はまだ数多く存在しています。

それでも実際に海の研究をやってみれば、陸上の場合と比較して、海で起きている出来事の中にはそのメカニズムが明らかにされていないことが多い、と実感するでしょう。

さらにそれらを解明するのに必要な基本的な情報やデータが存在しない、あるいは存在しても不十分である場合が多い、ということも痛感します。

逆に考えると分かっていないことが多いので、海についてはあちらこちらに手つかずの状態で研究のネタがころがっているともいえます。

これは研究者にとっては知的好奇心をそそられる、とても良い状況(チャンス)であると捉えることもできます。

Wakamaro
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そこでこのブログでは、少しでも多くの人が海の研究に興味を持っていただき、海における未解明な問題が解明されていく方向に進んでくれればいいな、と考えながら記事を書いていきます。

研究の成果は氷山の一角?

研究の成果や成功については、「アイスバーグ・イリュージョン」あるいは「アイスバーグ理論」と呼ばれている考え方がよく当てはまると思います。

「アイスバーグ」とは「氷山」のことです。

Wakamaro
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皆さんは、氷山は海面の上に出ている部分より海面下にある部分のほうがずっと大きいことをご存じでしょう。

水面上に見えている氷山は、全体のほんの一部

「アイスバーグ理論」とは、”現在得られている成果や成功の量を、もし氷山に例えるなら、それは海に浮かんでいる氷山のほんの一角の部分(水面上に見えているところ)に相当しているにすぎない”、という考え方です。

そして水面下で見えていない氷山の大部分は、それまでに費やされた数多くの努力や基礎的な情報・データ、あるいは挑戦と失敗、挫折など、数え切れない沢山のもので成り立っていて、水面上の成果を支えている”、とする考え方なのです。
🔗氷山の下に隠されたものとは?(アイスバーグ・イリュージョン)

アイスバーグ理論に従って「陸上の研究」と「海の研究」の現状を比較すると下の図のようになります。

陸上の研究と海の研究を比較したイメージ図

「陸上」の研究と比較して、「海」の研究にはまだまだ未解明な問題が多く残されている(=成果が少なく見える)、という状況は、図の左側の氷山と比べて右側の氷山の方が小さいという状況です。

つまり、「海」の研究成果(=水面上にある部分)を支えている基礎的な情報・データなど(=水面下の部分)が、「陸上」の研究成果を支えている水面下のそれと比べると圧倒的に少ない(小さい)、ことを示しているのです。

ここで誤解をしていただきたくない点は、このような状況は決して海の研究者がサボっていることを示しているわけではない、ということです。

そして少し冷静に考えてみると、実はこのような状況はとても自然であることがわかります。つまり、研究をしている主体である私たち人間が、「陸上」で生活をしている生物であることが、この状況を生み出した大きな理由だと考えられるのです。

人間は何から研究してきた?

地球上において、海の中ではなく、陸上で生活している私たち人間にとって、「陸上」の環境下で起きている様々な出来事は重要です。

例えば、他の生物の増減や気象の変化、生活に必要な物の開発や利用などは、直接的・間接的に人間の生活(例:健康や生死)に影響を及ぼすとても「重要な現象」です。

そのため、人間は「陸上」で起きている事柄のうち、まず始めに身近で自分の生活に密接に関係する「重要な現象」のメカニズムを明らかにして(=研究して)、その成果を利用して順番に次のステップに進んでいった、というのがとても自然な流れだと考えられます。

人間がまず観察を始めたことは?

このような「陸上」の現象の多くは、人間が直接観察をして、基礎的な情報やデータを得ることができます

つまり人間ははるか昔から、自身の生活に影響を及ぼすと思われる「陸上」の重要な出来事を長期間にわたり直接観察し、基礎的な情報やデータを数多く得ることによって、それらのメカニズムを解明し、人間が陸上でより良く生きるために利用してきた、と考えられます。

一方で「海」、特に「海の中」で起きている出来事について人間が直接観察出来るようになったのは、比較的最近のことです。

もちろん、陸上から見える距離にある、「海の表面」や「ごく沿岸」で起きている現象については、昔からある程度の情報やデータが得られてきたと考えられます。

しかし「海の中」や「沖合」で起きている様々な現象については、海洋観測船や特別な観測機器を利用することによって、初めてそれらの観察を行うと同時に必要な情報やデータを得ることが可能となったのです。

海洋観測船

以上のことから、「海」の研究成果ならびに、それを支えている基礎的な情報・データなどが、「陸上」研究におけるそれらと比べて少ない現在の状況は、私たち人間がまず身近で観察可能な「陸上」の出来事から「研究」を始め、時間をかけて徐々にその対象を「海」に広げている途中の状況を示している、と説明できるのです。

そして同様なことは「宇宙」の研究の場合にもあてはまります(🔗ブログ内の記事:海と宇宙)。

海も宇宙もまだまだ未知の領域

人間がこれから進めるべき研究の方向は?

さきほど、「陸上」で直接的・間接的に人間の生活に影響を及ぼす出来事はとても重要、と述べました。

実は「海の中」で起きている出来事も人間の生活に大きな影響を及ぼしていて、「とても重要」であることがわかってきました。

人間が様々な分野で「海」を利用する割合が大きくなるにつれて、海に関する研究成果も着実に増えつつあります。その結果として、海が人間の生活に及ぼしている重要性が少しずつ明らかになってきたのです。

海の出来事も「重要」

例えば、近年よく話題になる「地球温暖化」問題においても海は大きな役割を果たしていて、人間の生活に大きく影響することが明らかにされていますし、さらに日本人にとって重要な水産資源(魚や貝、海藻類など)の変動も、海が人間の生活に大きな影響を及ぼす「とても重要」な現象です。

つまり海は人間にとって、「環境」および「食糧供給の場」としてとても重要な役割を持っているのです。

Wakamaro
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つまり、日本、あるいは世界にとって「海の研究」は、これからさらにその重要性を増していく研究分野であると考えることができます。

人間の進化と研究の歩み

ですから私たちは今後も「海の中」で起きている出来事を長期間にわたり継続的に観察し、基礎的な情報やデータを数多く得ることによってそれらのメカニズムを解明し、成果を蓄積して、人間が「地球上で」より良く生きるために利用する必要があるのです。

”Blue Revolution”を目指して!!

Blue Revolution(青の革命)とは、1960年代半ばから現在に至るまで、世界の水産養殖業が急速に成長した時期を指したり、1985年から1990年にかけて、インド政府が水産養殖産業の成長を促進するためとった政策のことを指したり、これまでにも何度か使われている言葉です。

この言葉は、陸上の農業分野で、1940年代から1960年代にかけて作物の高収量品種導入や化学肥料の大量投入などにより穀物の生産性が向上し、穀物の大量増産を達成した”緑の革命”(Green Revolution)を意識したものと考えられます。
🔗「緑の革命」:Wikipedia

海は、私たち人類が持続的に生活をしていくために、環境および食糧供給の場としてとても重要な場所です。

だからこそ、私たちが本当の意味での「Blue Revolution」を達成するためには、まだまだ「海」について知らなければならないことが数多く残されていると思うのです。

”緑の革命”(Green Revolution)で中心的な役割を果たしたノーマン・ボーローグ博士は、歴史上のどの人物よりも多くの命を救った人物として認められ、1970年にノーベル平和賞を受賞しています。

実はその成功の土台には、日本人研究者が開発した「小麦農林10号」(ノーリン・テン)がありました。🔗「稲塚権次郎」:Wikipedia

真の「Blue Revolution」を達成する上で、今後、日本人研究者の活躍が期待されるところです。

まとめ

以上のような理由で、このブログ(UMI-SONO-”i”)では、海の研究に関する話題や情報を中心に、わかりやすく紹介をしていきたいと考えています。

Wakamaro
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でも、冒頭でも述べたように、あまり肩肘張らずにゆる~く、その他のいろいろな話題も紹介したいと思いますので、どうかよろしくお願いします。

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